肩寄せ合う

東京の正月は、そとの猫たちにとってつらい時期だろう。寒さに加え、三が日は人間がぐっと減るので、エサにありつきにくくなる。

近所の団地に住み着いた猫たち。駐輪場にビニールシートと古毛布で作られた簡易な寝床で、肩を寄せ合い、しのいでいる。

写真ではわかりにくいが、みんな耳にV字カットがある。避妊、去勢を済ませているしるしだ。もちろん、猫が自分でそれをするわけはなく、だれかが猫を病院に連れて行き、お金を払ってその処置をしている(TNR活動ともいわれる)。団地住人に、ボランティアの人がいるのかもしれない。

去勢、避妊処置を済ませてから再び野外に放たれ、「地域猫」あるいは「さくら猫」と呼ばれる野良の猫たちは、子どもをつくれない、産めない体にされる代わりに、地域での居住権を得て、場合によっては寝床も用意され、エサも堂々ともらえる。それが猫にとって幸せなのか不幸なのか、わかるはずがない。あくまで人間の都合でしていることだ。

ある種の動物たちは、増えすぎて困ると言われ、つかまえられて殺されたり、去勢、避妊処置をされたりする。別の種類の動物たちは、減りすぎて困ると言われ、交尾をさせられたり、人工授精で繁殖をはかられたりする。すべて、人間の都合だ。

人間がこうしてしまった世界なのだから、それを少しでもマシなものにしていくしかないということだが、それを承知したところで、後ろめたさは消えない。